中国製GNSS測量機の実力とは?【徹底検証】

私たちの生活には多くの「Made in China」があふれていますが、「中国製」と聞いてなんとなくマイナスイメージを持ってしまう方も少なくないのではないでしょうか。
特に測量機などの高価な精密機器となると、今までの信頼のある国内メーカーや欧米のメーカーに目が行ってしまいがちです。

国内で使用されているメーカーと比べて違いはあるのか?
中国製GNSS測量機は本当に信頼できるのか?

そんな疑問を解決するため、実際に2社のGNSS測量機を使用した比較実験を行い、中国製GNSS測量機の実力を検証していきたいと思います。

検証結果がすぐに見たい場合は、2ページ目からご覧ください。

実験前にカタログスペックを比較

まずは実験前に、CHC-GNSSと他社の最新機種とのカタログスペックを比較してみます。

よく測量機器のカタログに載っている仕様表ですが、「数字だけでは何がなんだかよくわからない」というのが本音ではないでしょうか。
各項目はどういう意味なのか?まずはそこからご説明していきたいと思います。

メーカーCHC社A社B社
チャンネル数220550450
受信衛星GPS
GLONASS
Galileo
BeiDou
QZSS
SBAS(WAAS/EGNOS/GAGAN/MSAS)
GPS
GLONASS
Galileo
BeiDou
QZSS
NavIC
SBAS(WAAS/EGNOS/GAGAN/MSAS)
GPS
GLONASS
Galileo
BeiDou
QZSS
SBAS(WAAS/EGNOS/MSAS)
更新頻度20Hz(標準)5Hz/20Hz10Hz(標準)
20Hz(オプション)
測位精度
スタティック法
水平 2.5mm+0.5ppm
垂直 3.5mm+0.5ppm
水平 3mm+0.1ppm
垂直 3.5mm+0.4ppm
水平 3mm+0.3ppm
水平 5mm+0.5ppm
測位精度
RTK-GNSS測位
VRS方式
水平 8mm+0.5ppm
垂直 15mm+0.5ppm
水平 8mm+0.5ppm
垂直 15mm+0.5ppm
水平 5mm+0.5ppm
垂直 10mm+0.8ppm
価格211万円約500万円約400万円

チャンネル数

チャンネル数とは、GNSS測量機が同時に捕捉できる衛星の数のことです。
1チャンネルにつき1つのGNSS衛星の信号を受信できるので、220チャンネルなら同時に捕捉できる衛星は220基、450チャンネルなら450基を同時に捕捉できることになります。

2019年5月時点で主要なGNSSシステム(GPS、GLONASS、Galileo、BeiDou、QZSS)の稼働衛星数をすべて合わせても130基程度なので、200チャンネル以上あれば現状は十分なチャンネル数があると言えます。

受信衛星

GNSS衛星 CHC社 A社 B社
地球全体をカバーするGNSSシステム
GPS/アメリカ
GLONASS/ロシア
Galileo/EU
BeiDou/中国
一部地域をカバーするGNSSシステム
QZSS/日本
NavIC/インド
SBAS(衛星航法補強システム)
WAAS/アメリカ
EGNOS/EU
MSAS/日本
GAGAN/インド

受信衛星は、そのGNSS測量機が受信できる各国のGNSSシステムの一覧です。

アメリカのGPS、ロシアの GLONASS、EUのGalileo、中国のBeiDou、日本のQZSS(みちびき)などの主なシステムのほか、測量には使用しないSBAS(衛星航法補強システム)も表記されています。

この項目には衛星システムの種類のほか、通常は各システムで受信できる信号の種類も記載されています。この項目で説明するには長くなってしまうため、これについては次回のCHC-GNSS NEWS No.4で、QZSS(みちびき)と精度の話の際にまとめてご説明いたします。

更新頻度

この項目は、1秒間に何回衛星の情報を受信できるかを表しています。

たとえば、20Hzなら1秒間に20回、10Hzなら1秒間に10回、衛星からの情報を受信できます。
30分~1時間以上の連続観測が必要なスタティック法による測量では、1秒間に受信できる情報が多いほど、観測誤差を減らすことができます。

測位精度

測量機の精度は、下記のように表記されます。

測量機自体の誤差 + 測定距離に比例する誤差

つまり、2.5mm+0.5ppmと表記されている場合、測量機自体の持つ誤差が±2.5mm基地局や電子基準点との距離に比例した誤差が±0.5pmm×距離で、この二つを足した数字が測量機の誤差になります。(ppmは100万分の1の略)

どのメーカーの測量機も、カタログには理想的な条件で計測した場合の精度が表記されています。
実際の観測では周囲の環境(マルチパス)や衛星の配置・数、大気(対流圏・電離層)などの影響を受けるため、カタログに書いてある通りの精度で確実に観測できるわけではありません。

それでは次のページから、CHC-GNSSと他社製品の比較実験を行っていきます!