みちびき/QZSSでGNSS測量はどう変わる?

みちびきはGPS互換信号以外にも「センチメータ級測位補強サービス」という独自サービスの提供しています。

センチメータ級測位補強サービス(CLAS)って?

GPS衛星との互換性を持たないL6信号によるみちびき独自の国内向けサービスです。

地上の管制局で国土地理院の電子基準点観測データから補強情報を計算し、みちびきを経由してL6信号で配信。この補強情報を利用することでセンチメータ級の測位精度を実現する、PPP-RTK測位と呼ばれる技術です。

現在はまだ対応する機種はありませんが、測量・情報化施工・IT農業などの分野への活用が想定されています。

PPP-RTK法とは?

RTK-GNSS測位は基準点(基地局)から10km以上離れると誤差が大きくなるのが欠点ですが、PPP-RTK測位では基準点無しで測量することができ、基準点からの距離による制約がありません。

基準点がいらない既存のGNSS測量ではVRS方式(ジェノバ社の有料サービスを利用した測量方法)がありますが、みちびきのセンチメータ級測位補強サービスは電波を受信できれば無料で利用できます。
また、インターネットに接続する必要があるVRS方式と違い、衛星から直接補正情報を受信するため、インターネットに接続できないエリアでも利用できます。

センチメータ級測位補強サービスでも精度は変わらない

そして残念ながら、このみちびき独自のサービスを利用しても、RTK-GNSS測位以上の精度(誤差3~4cm)が出せるわけではありません。

GNSS測量機のみちびき対応

各衛星の信号一覧

みちびきのGPS衛星互換信号は、既存のGNSS測量機で受信することができます。そのため、GPS衛星の電波を受信できる測量機はすでに「みちびき対応の測量機」といえます。

ですが、みちびき独自のセンチメータ級測位補強サービス(CLAS)に対応する測量機はありません。

GNSS測量機が「みちびきに対応していない」という場合、みちびきの電波を受信できないのではなく、 センチメータ級測位補強サービス(CLAS)に対応していない、ということになります。

このサービスの肝となるL6信号はGPS衛星と互換性が無いため、L6信号の利用には専用の受信機が必要です。
現在受信できるL1(1575.42MHz)、L2(1227.60MHz)に加え、L6(1278.75MHz)の複数周波同時受信が必要になるため、まだ測量機器ではどのメーカーも対応していないのが現状です。

そもそも、なぜ複数の周波数を受信する必要があるの?

GNSS測量で最も大きな誤差を生むのが、衛星の電波が電離層を通過する際に発生する遅延による誤差です。
この電離層誤差を補正するためには、2周波の電波が必要不可欠です。

電離層誤差とは?

測位衛星の電波は、地上からおよそ100km~1,000kmにある電離層を通過する際、通過速度に遅延が発生します。
マルチパス同様、この速度の遅れが距離計算に影響し、GNSS測量の誤差となります。

この誤差は、1機の衛星から発せられる周波数の違う2つの信号を利用することで改善することが出来ます。

2周波GNSS測量で電離層誤差を補正

2周波受信できるGNSS測量機の特徴は、電波が電離層を通過する際に発生する誤差を補正できる点です。
1周波の観測では電離層誤差が半分程度まで低減できる電離層遅延推定データ(KLOBUCHARモデル)を使用しますが、2周波観測では周波数によって異なる電離層での屈折量から誤差をより正確に補正します。

GNSS測量機は2周波受信できる機種が主流

GNSS衛星は、複数の異なる周波数の電波を複数発信しています。

GNSS測量機のアンテナには、1つの周波数のみ(主に1575.42MHz)を受信できるものと、2つの周波数を受信して測量できるものがあり、測量の分野では2周波以上受信できる測量機が主流となっています。