中国製GNSS測量機の実力とは?【徹底検証】

CHC-GNSSと他社製品の比較実験

今回は中国製のCHC-GNSSと、CSS技術開発が長年業務で使用してきたL社のGNSS測量機で比較検証を行います。

CSS技術開発は測量会社として創業以来、プロとして精度を重視した測量機を選んで導入してきました。そんな信頼と実績のあるL社の測量機と性能を比べることで、CHC-GNSSの実力を検証していきます!

検証方法

2社のGNSS測量機で、同じ条件、同じ測量方法で、同じ3級基準点を計測。2つの測量機の観測結果と、国土地理院の公開している3級基準点成果との差を比較していきます。
測量方法は、前回の配信でご紹介したRTK-GNSS測位、VRS方式、スタティック法の3種類で検証を行います。

RTK-GNSS測位の比較検証結果

3級基準点・10A73に基地局を据え、10A72、1008AのポイントをRTK-GNSS測位により観測しました。
基地局と移動局の距離は、10A72が193.897m、1008Aが395.335mです。

それぞれの3級基準点との誤差は、3mm~20mmと幅があり、2社の計測結果に大きな差はありませんでした。

CSS技術開発では、RTK-GNSS測位によるGNSS測量を行う場合およそ20mm~30mmの誤差を想定し、業務を行っています。

点名計測 X Y Z
10A73(基地局)3級基準点-40639.562-35397.99871.501
10A72(成果-2)3級基準点-40540.627-35232.40567.943
CHC社-40540.638-35232.41367.954
L社-40540.635-35232.38667.94
1008A(成果-3)3級基準点-40438.375-35057.68465.379
CHC社-40438.383-35057.67965.356
L社-40438.399-35057.67665.382

VRS方式の比較検証結果

CHC社とL社のGNSS測量機で、国土地理院で公開されている3級基準点を計測し、その誤差を比較しました。
その結果、3級基準点との誤差はそれぞれ 1mm~40mm と幅があり、2社の計測結果に大きな差はありませんでした。

L社の2点目の計測では正常にFIXしなかったこともあり誤差の範囲が大きくなってしまっていますが、これは時間をおいて衛星の配置が変わることで改善する問題です。

VRS方式はGNSS測量機を2台使用するRTK-GNSS測位に比べると、誤差が大きくなる測量方法です。
CSS技術開発の測量業務でも、VRS方式によるGNSS測量は30mm~40mm程度でることを前提に、要求される精度を満たす範囲での運用を行っています。

点名計測 X Y Z
10A73 3級基準点-40639.562-35397.99871.501
CHC社-40639.554-35398.01871.461
L社-40639.568-35398.00471.497
10A72 3級基準点-40540.627-35232.40567.943
CHC社-40540.615-35232.42867.953
L社-40540.899-35232.33167.914
1008A 3級基準点-40438.375-35057.68465.379
CHC社-40438.372-35057.68265.344
L社-40438.375-35057.69765.399

スタティック法の比較検証結果

電子基準点を既知点としたスタティック法によるGNSS測量で、120分間の連続観測を行いました。
2社とも水平精度は1~3mmの誤差で、VRS方式やRTK-GNSS測位に比べ高い精度で計測できました。

スタティック法による測量での垂直方向の誤差は、水平方向の誤差のおよそ3倍程度になります。

CSS技術開発では、近くに基準点が無い場合の基準点測量にスタティック法によるGNSS測量を活用しています。

点名計測 X Y Z
10A733級基準点-40639.562-35397.99871.501
CHC社-40639.565-35398.00171.492
L社-40639.562-35397.99971.497

比較検証を終えて

すべての検証を終えて結果を見比べてみると、その性能にほとんど差が無いことがわかりました。
また、カタログに記載された測位精度とは違う、GNSS測量の実際の精度も見えてきました。

この検証結果が、GNSS測量機の導入をお考えのお客様の参考になればと思います。

またこちらの記事で、GNSS測量はどんな現場に向いているのかをご紹介していますので、是非ご覧ください。